竹ひご
構造~竹はなぜ強いのでしょうか?~
軸に平行に貫く繊維と断面の形が強さの秘密
竹ひごの断面を見てみましょう。黒いボツボツとした点々がたくさんあるのが見えます。これは、「維管束」といって、植物が水や栄養分を植物の体全体にいきわたらせるための通路になる役割を果たすものです。また、この維管束は同時に植物の構造を支えて強さを増す役割も果たしています。周囲の部分より強い維管束が軸に平行に通っているために、横に折ろうとする力に対してとても強いのです。
竹がしなやかに曲がりながらも丈夫なのは、このような構造が理由です。
さらに、竹ひごの断面は円形です。断面が円形のものは、楕円や薄板のものよりも、折り曲げに対して強いのです。これも竹ひごが強い理由です。
細く割ける
竹ひごの断面に垂直に少しだけカッターで切り込みを入れて、手で左右に割いてみましょう。大きな力をかけなくても竹ひごが割けたでしょう?これも、この維管束という繊維が軸に平行に走っているので、断面に垂直にカッターで切り込みを入れると、軸に平行に走っている維管束に沿って、維管束の周りの柔らかい部分で簡単に細く割くことができるからです。
竹ひごの切断の仕方
では、竹ひごの断面に平行に、竹ひごを切るときはどうすればいいでしょうか?細い竹ひごの場合ははさみで切れるかもしれませんが、例えば3mmの竹ひごなどは、硬くて切れないでしょう。それに、無理をしてはさみで切るとはさみが痛みますし、断面がきれいに切れませんので、つづく工作の出来栄えに悪い影響を与えてしまいます。
竹ひごを切るときは、カッターや小刀を使うと便利です。傷がついても構わない平らな台(かまぼこ板や工作の残りの端材などが良いでしょう)の上に、竹ひごを置いて、カッター(小刀)を利き手(例えば右手)で持ち、反対の手(例えば左手)で竹ひごを抑えて、竹にカッターの刃を当てて、前後に回しながら切ります。
熱で曲げる
竹ひごは、熱を加えて曲げることができます。
曲げてから、すぐに水に浸けて冷やすと曲がったまま硬くなり元の形に戻りません。
竹ひごを曲げるには、湯を使う方法と火を使う方法があります。
湯を使う方法
沸騰したお湯に曲げる部分を1分ほど浸します。柔らかくなったら取り出して、熱くて柔らかいうちにゆっくりと少しだけ曲げます。一度に目的の形にしようとしないようにしましょう。
それを2~3回繰り返して少しずつ目的の形になるように曲げていきます。目的の形になったらそのまま水で冷やしてください。細い竹ひごの場合は、そのまま手で支えておくだけでも形が決まっていきます。
曲げるときに、待ちきれずにまだ固いのに無理に曲げたり、柔らかいときであっても、急いで曲げてしまうと、繊維がちぎれてささくれてしまいます。
このように繊維が傷ついてしまうと、その時は、良い形になっていても、時間が経ったり、水にぬれたりすると、変形してくることがあります。
飾る工作ではなく、模型飛行機の主翼のように、性能に直結するような工作の場合は、慎重に時間をかけて曲げましょう。
火を使う方法
模型工作などで使う細い竹ひごは、コンロ、ろうそく、電球の熱で曲げることもできます。火に近づけて、手で加減しながら曲げて、そのまま型にあてがいながら形を決めていきます。この時も、一度に目的の形にしようとしないで、何度か形を確認しながら曲げていくとよいでしょう。
細い竹ひごは空気に触れている間に冷めるので、形が固まります。
竹ひごを使う場所
模型飛行機の翼や模型車のハンドルの曲げはこのようにして曲げた竹ひごを使うことが多いです。
模型車の車軸や船のマストにしたりもできます。
(以上)
おまけ:白熱電球を発明したのは誰でしょう?
白熱電球を発明したのはジョゼフ・スワンです。
エジソンは、スワンの発明した白熱電球を「改良」しました。
スワンが発明した白熱電球のフィラメントは、紙を炭化させたもので、発光時間が1分も持ちませんでした。
エジソンは、フィラメントの材料として、スワンの使っていた「紙を炭化させたもの」の代わりに、中国の竹を使い、200時間発光させることに成功しました。
エジソンは、さらに、世界中の竹で実験をしました。そして、京都の八幡男山の石清水八幡宮の境内の真竹を使って、1200時間の発光継続に成功しました。
ちなみに、石清水八幡宮の最寄駅からすぐのところに、飛行神社があります。とても面白い神社です。ぜひ一度行ってみてください。
この飛行神社には、ライト兄弟とほぼ同時期に人力飛行機の研究を行っていた「日本航空機の父」とよばれる、二宮忠八の「二宮忠八飛行館」があります。ぜひ訪ねてみてください。
キャンプと竹
竹は、工作にも使われますが、キャンプファイヤーやかまどに使われます。
例えば、キャンプファイヤーで火をつけるとき、竹は燃え始めるのが遅く、中心が空洞なので、灯油を染み込ませた布を詰めて火をつけると、持ちやすい松明ができるので、よく使われます。
また、かまどで火をたく時は、木端(木の切れ端)に火をつけてどんどん大きな木に移していくのです。
竹を入れると竹は燃えにくいのですが、その代わりに長時間も続けるのでかまどに重宝されます。