メイカーズクラブ | 学会発表報告 | 2026.09.04
学生・若者の役割形成
― KOKORO-NET in KOBEとメイカーズクラブの協働実践を通じて ―
学会:日本工学教育協会 第74回年次大会・工学教育研究講演会
発表日:2026年9月4日
会場:岐阜大学
オーガナイズドセッション:
「地域社会における工学系のダイバーシティの課題」
発表題目:
国際交流型ものづくり活動における学生・若者の役割形成
― KOKORO-NET in KOBEとメイカーズクラブの協働実践を通じて ―
中谷 亘佑(同志社大学理工学部機械システム工学科/NPO法人メイカーズクラブ若手会CYT)
薮 淑乃・石田 大輔(NPO法人メイカーズクラブ若手会CYT)
冨田 栄子(KOKORO-NET in KOBE)
中谷 敬子(大阪公立大学高専/NPO法人メイカーズクラブ代表)

発表タイトルと、活動の中心となったKOKORO-NET in KOBE・メイカーズクラブ若手会CYT
今回の発表では、国際交流を目的としたものづくりワークショップの企画・準備・実施を通じて、
学生や若者が活動の中でどのように役割を形成し、
その役割を変化・拡張させていったのかを整理しました。
対象となったのは、KOKORO-NET in KOBEとNPO法人メイカーズクラブ若手会CYTが協働して実施した、
国際交流型のものづくりワークショップです。
活動を始める段階では、設計担当、進行担当、サポート担当など、
まず役割を分担します。
しかし実際の活動では、その担当だけをこなせばよいわけではありません。
現場の状況、参加者の様子、他のメンバーの進み具合を見ながら、
自分が担うべき役割を変えたり、新しい役割を引き受けたりします。

発表で整理した「役割形成」
活動の中で役割の意味が変わり、
現場の課題に応じて動き、
参加者や目的を見ながら役割を再定義し、
最終的には活動全体を支える役割へ広がっていく。
実践の舞台となった日本文化体験ワークショップには、
外国人研究者・留学生とその家族が参加しました。
参加者は9か国14名、うち子ども4名。
国籍、年齢、言語、ものづくり経験の異なる参加者が一緒に活動する場となりました。

多様な国・世代の参加者が集まる場で、ものづくりを通した交流を実践しました。
ワークショップは、当日だけで完結したものではありません。
テーマ案の検討から始まり、ゼンマイを使った工作教材の提案、
試作品の組み立て、小学生向け工作教室での試行、
改良を経て、国際交流型の日本文化体験ワークショップへと発展していきました。

教材は、一度で完成したものではなく、試作・実践・改良を重ねてつくられました。
準備段階では、CYTのコアメンバーが機構設計、改良設計、
プロジェクトマネジメントなど、それぞれの役割を担っていました。
一方、当日は学生TAや社会人TAを含む複数のチームで活動しました。
現場では、決められた担当だけにとどまらず、
困っていることを伝え、互いに補いながら、
「参加者とともに、日本文化交流の場を成立させる」という共通目的に向かって動いていきました。

今回の分析から見えてきたのは、
役割形成は、単に仕事を分担するためのものではないということです。
自分の担当を理解するところから始まり、
他の人の役割や活動全体を理解し、
必要なときには助け合って動く。
その過程で、自分と他者の役割の間にある隙間が埋まり、
相互理解が深まっていきます。

国籍、年齢、所属、専門の異なる人が同じ場にいることだけで、
相互理解が生まれるわけではありません。
共通の活動の中で、それぞれが自分の役割をもち、
状況に応じて役割を変化させ、
他者と補い合う経験を重ねること。
その「役割形成」のプロセスが、
多様な人同士をつなぐ一つの鍵になることを報告しました。
メイカーズクラブでは、
工作教室や若者活動を「実施して終わり」にするのではなく、
その中で何が起こり、若者がどのように成長し、
人と人の関係がどのようにつくられていくのかを振り返ることも大切にしています。
現場で生まれた実践を研究として整理し、
そこで得た知見を、次の活動や若者の育成へ還元していきます。
KOKORO-NET in KOBEの皆さま、
若手会CYT・学生スタッフ・関係者の皆さま、
ご協力ありがとうございました。
NPO法人メイカーズクラブ

