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【知識】電子卓上計算機の裏側(エレクトロニクス実装技術)

「技術の舞台裏」シリーズ
みなさんが何気なく目にしている現象や製品にもみんな「理由」があります。「なぜだろう?」という思いで、「当たり前」を見つめてみると、面白い発見があります。ここでは、技術者・研究者のみなさんから、そんな「技術の舞台裏」を教えていただきます。楽しんでくださいね。

電子卓上計算機の裏側(エレクトロニクス実装技術)

2020.07.
毛利 勝一(元 重工業会社 研究員)
貫井 孝(元 エレクトロニクスメーカー・技術者)

エレクトロニクス実装技術の一番簡単で理解しやすい実例として、電卓を取り上げます。内部を見ると、回路部があり、CPUを囲んで配線されてます。製品をコンパクトにするためには、部品の小型化、配線板(濃緑の部分)の精細化、微細な接続技術など全体システムを見渡しながら進めていくのがエレクトロニクス実装技術の果たす役割なのです。ですから、ここが終わりというところはなく、時と共にどんどん進化していくものです。

電卓の歴史

皆さんは、電卓(電子卓上計算機)を日常的に使っていますよね。

昔は、機械式計算機というのがあって、一番有名なのは「タイガー計算機」でした。1970年に販売を完了していますから、皆さんのおじぃさん、おばぁさんでも見たことがないという方もおられましょう。

タイガー計算機

大本寅治郎が大正8年(1919年)国産計算器の発明考案に着手し、4年の歳月をかけて1923年商品として完成し、「虎印計算器」として販売開始しました。

日本人が発明した計算機だったのですね!

それを劇的に変えたのが、電卓です。

とはいえ、発売当時(1960年代始め)は、四則演算できる卓上電気計算機は、10kg以上の重量があり、値段は大学卒初任給の10倍以上もの高価なものでした。

その後、演算部にIC(Integrated Circuit)LSI(Large Scale Integration)といった半導体集積回路を採用することで、劇的なコストダウンとコンパクト化に成功し、現在ある電卓につながっていきました。

電卓のしくみ

40年ぐらい前に実際に使用しており、今でも十分に実用に耐えている電卓であるSharp Elsimate EI-331Lを、外観だけですが、紹介しましょう。

表側が入力部です。ボタンを押すとそれぞれの回路が導通する仕組みになっています。

 

裏側には、回路部があり、CPU(CentralProcessingUnit:中央演算処理装置)を囲んで配線されているのがわかります。これが、エレクトロニクス実装技術の一番簡単で理解しやすい実例です。

エレクトロニクス実装技術の役割

もう少し、細かく見てみましょう。先に述べたように、ICやLSIという半導体集積回路の登場が、コンパクト化に大きく寄与しましたが、これに入りきらない周辺の部品群、これらをつなぐ配線部分、入力部や出力部(表示部)との結線部分も同時に高精細化しないと、電卓そのものをコンパクトにすることが出来ません。

そのために、部品の小型化、配線板(濃緑の部分)の精細化、微細な接続技術など全体システムを見渡しながら進めていくのがエレクトロニクス実装技術の果たす役割なのです。ですから、ここが終わりというところはなく、時と共にどんどん進化していくものです。

この程度の構造なら、ばらしても元へ戻せます。しかしながら、家庭のテレビ、パソコンなど、興味があっても分解はお勧めできません。もとへ戻すことはできないのはもちろんですが、それはそれは高度に進化した複雑な実装技術の塊で、どういう配線の状況なのかを人の目では確認できない姿にまでなっているからです。

毛利 勝一氏。
40年間重工業会社へ勤務、退職後は日本鋳造工学会関西支部の活動などを支援。
専門は、鋳造工学。
 

 貫井 孝 氏。
1973年、エレクトロニクスメーカーへ入社。電子回路を軽薄短小化できるエレクトロニクス実装技術を実用化。プラズマクラスターイオン空気清浄機など健康家電の開発・商品化などを統括。常務執行役員歴任後、2013年退任。Office NU 開所活動中。
現在、京都大学デザイン学リーディング大学院特命教授。
高校・大学を通して、そして今でも、ハンドボールに熱中。

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