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【実施報告】からくり人形に学ぶ日本文化体験ワークショップ
Karakuri Craft Workshop(2025/12/6)
2025年12月6日、兵庫国際交流会館(神戸市)にて、「からくり人形に学ぶ日本文化体験ワークショップ」を開催しました。
本企画は、KOKORO-NET in KOBE との共催による文化交流事業であり、神戸大学グローバル教育センターの協力支援を得て実施されました。NPO法人メイカーズクラブ若手会 CYT が中心となり、制作教材の開発から当日の工作パートの進行、参加者のための工作サポートまでを担いました。
参加者は、9カ国14名(うち、子ども4名)と、国際色豊かな会となりました。
ものづくりで学ぶ、日本文化の「技と心」
プログラムの冒頭では、KOKORO-NET in KOBE の瀬口さんより、多様な文化の人々が、ものづくりを通して交流する意義について挨拶がありました。
メイカーズクラブ若手の会CYTの自己紹介
イベントの冒頭では、今回のCYTプロジェクトを取りまとめた藪さんより、若手会CYTについての紹介がありました。
CYTは、NPO法人メイカーズクラブに所属する高専生・大学生・大学院生・若手社会人によるチームで、工作教材づくりや教室サポート、技術勉強会、キャリア交流などを行っています。「教える側と学ぶ側の境界をなくし、ともに作り、ともに学ぶ」という理念を、若い世代が実践し続けているグループです。
工作サポーターの自己紹介
その後、高専生・大学生・大学院生・若手社会人からなる工作サポーター総勢15名の自己紹介が行われました。自己紹介では、「たこやき」「けん玉」など、好きな日本食や遊び、お気に入りの場所なども紹介され、参加者との距離が一気に縮まる和やかな雰囲気に。
また、日本の伝統的な遊びのひとつであるけん玉の難しい技を披露するメンバーも登場し、会場からは「おぉ!」と驚きの声と拍手が上がりました。
国や立場を超えて、同じ空間で「つくる」ことを楽しむ仲間として、会場全体が温かくつながっていきました。
教材開発と工作サポート(メイカーズクラブ若手会CYT)
当日は、高専生・大学生・大学院生・若手社会人からなる工作サポーターが、メイカーズクラブ若手会 CYT が開発した工作キットを使って、日本の伝承からくり人形の一つである「茶運び人形」と同じ機構を持つ動く車の工作の工作キットを使いました。工作サポートもCYTを中心に15名が参加し、ほとんどマンツーマンに近い形でのサポートにより、日本のものづくりに触れる様々な国籍の参加者も、安心して制作を楽しむことができました。
【日本文化交流レクチャー】“秘伝”から“共有”へ:日本のからくり技術の転機
メイカーズクラブ代表の中谷敬子から、「日本のからくり技術と『機巧図彙』― 日本のものづくりのKOKORO―」について話題提供を行いました。
江戸時代に細川半蔵頼直が、歯車やぜんまいなどの仕組みを設計図として公開したことにより、技術が秘伝ではなく「学び合う文化」として社会に開かれたこと、そして、その公開された知識を基に、大野弁吉や田中久重(東芝創業者)のような技術者が育っていった歴史を紹介しました。
この話題提供は、参加者に対して、今日の工作が単なる「作品づくり」だけではなく、技術を共有し継承する文化を体験する場であることをKOKOROで感じ合うことができました。
歯車とぜんまいで動く車の工作体験


工作パートでは、CYTが開発した工作キットを使って、日本の伝承からくり人形の一つである「茶運び人形」と同じ機構を持つ動く車の工作に挑戦しました。
CYT のサポーターが各テーブルに入り、ほぼマンツーマンで伴走しながら、歯車とぜんまいで動く車の組み立てに挑戦しました。説明は原則的には日本語で行いつつ、身振りや手振りを交えたサポートにより、国や言語の違いを超えて協力しながら作業が進みました。


完成後は、実際に走らせて動きを確かめたり、和紙や折り紙で装飾を施したりと、それぞれの創造力を生かした表現が広がりました。炎のパワーで走るネズミ型スーパーカーや、日本の伝統的なからくり人形の一つである茶運び人形にヒントを得て、人形を乗せる台車に仕立てる参加者もおり、世界に一つだけの車が次々と生まれました。
和柄の折紙で楽しむ、自由なデコレーション
工作の後半では、KOKORO-NET in KOBE の皆さんが準備してくださった色とりどりの和柄の折紙や装飾素材を使い、自由にデコレーションを楽しみました。
各テーブルでは、模様や色の組み合わせを考えながら、「美しい着物のようにしたい」「かわいい猫に」など、アイデアや文化の話題が自然に交わされ、互いの発想を共有する時間となりました。
素材が場に整えられていたことで、参加者自身が発想を広げ、作品づくりと会話が同時に進む、文化を共有する時間となりました。日本の伝統や地域文化への興味が、デザインを通して自然に深まる、ものづくりならではの学びが生まれました。
神戸の伝承からくり「神戸人形」を紹介
プログラムの途中では、地域の伝承玩具として、神戸が生んだ伝承からくり「神戸人形」の実物を紹介しました。参加者の小学生が前に出て、実際にデモンストレーションを披露してくれました。
二人の真っ黒なお化けがスイカを包丁で真っ二つに切り、そろって大きな口を開けてぱくりと食べるという、ユーモラスな動きに、会場には大きな笑い声が広がりました。この神戸人形は、軸と紐だけでその動きを再現していることが説明されると、参加者からは驚きの声が上がりました。歯車を使う今回のゼンマイ工作との違いと共通点、すなわち「シンプルな仕組みで複雑な動きを楽しむ」という文化に気付く学びの時間にもなりました。
作品交流と発表タイム
制作後は、各テーブルで作品を見せ合いながら交流する時間を設けました。多様なデザインや装飾が生まれたことから、「このまま各テーブルだけで終わらせるのはもったいない」という声が上がり、急遽、全体に向けて一人ずつ作品を紹介するミニ発表会を行いました。
自分の工夫したポイントや、好きな色・模様について紹介する中で、互いの作品をたたえ合う拍手が自然に起こり、技術だけでなく、相手を尊重するまなざしが共有されていきました。
日本の着物レンタルのお店で日本の着物の着付けの仕方を学び、海外からのお客さんに英語で対応しながら着物の着付けのバイトをしているというインドネシアからの留学生の作品は、その日常の技術が表れていて、本格的な着物の着付けはできない日本人たちがとても驚いていました。
作品ギャラリー
素晴らしい走り
今回のワークショップで生まれたゼンマイからくりカーの中から、印象的な2つの作品動画を紹介します。
日本の伝統的な「からくり」の仕組みをベースにしながら、参加者それぞれの個性やバックグラウンドが表れた作品です。
ミュンヘン工科大学(TUM)院生が作ったゼンマイカー
ミュンヘン工科大学(TUM)の院生(女性)が、ゼンマイで走るからくりカーを黙々と組み立てている様子です。
集中して一人で作り上げたあとには、CYTの学生たちと楽しそうに会話をしながら走りを確かめている姿が印象的でした。
日本のからくり技術が、国や言語の違いを超えて「ともに作り、学び合う」きっかけになっている様子が伝わる動画です。
ロケットカー vs ネコカー!ゼンマイレース
ロケット型のゼンマイカーと、ネコをモチーフにしたゼンマイカーが競争する様子を撮影した動画です。
どちらのデザインにも、参加者それぞれの遊び心と発想力が表れており、走りそのものだけでなく「つくることを一緒に楽しむ」雰囲気が伝わってきます。
国際色豊かな参加者が、日本のからくり技術をベースに自分だけの作品を作り、それを一緒に笑い合いながら楽しむ場面の一コマです。
作品ギャラリー
記念撮影と次回開催を望む声と笑顔
最後は全員で、それぞれの世界に一つの作品を手に記念撮影を行いました。その後、作品と、折り紙で作った小箱を手に、にこやかに会場を後にされました。
「次回はいつ開催されますか?」という質問が参加者から出るなど、
技術と文化がつながる交流イベントとして、大変好評な会となりました。
参加者の国籍と人数
今回の参加者は、以下の9カ国・14名でした(うち子ども4名)。
合計:9カ国 14名(うち子ども4名)
開催概要
- 行事名:からくり人形に学ぶ 日本文化体験ワークショップ(Karakuri Craft Workshop)
- 日 時:2025年12月6日(土)13:00〜15:00
- 会 場:兵庫国際交流会館 1階 Nadacom Station(神戸市中央区脇浜町1-2-8)
- 対 象:外国人研究者・留学生とその家族(小学校4年生以上。小学生は保護者同伴)
- 定 員:10組(※実際の参加者は、14名)
- 参加費:無料
- 工作キット開発:メイカーズクラブ若手会 CYT
- 共 催:KOKORO-NET in KOBE、NPO法人メイカーズクラブ/若手会 CYT
協 力:神戸大学グローバル教育センター











