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メイカー・レター「エンジンのテストの“プロ” になるということ」

2020.05.29.
重機メーカー技術者・石田あずさ

たくさんのエンジニアや達を引っ張って熱心に仕事をしていて,立場が違う人とも尊敬し合ってテスト場には楽しい雰囲気があり,よいチームワークがそこにありました.それを見てやっとプロの意味が分かった気がしました.

最初の仕事

私は建設機械の会社に入って,毎日ブルドーザの運転がしたいと思っていましたが,残念ながら担当することになったのは,エンジンのテストをするという仕事でした. 油圧ショベルやホイールローダ・ブルドーザなどの機械の動力源は, ディーゼルエンジンなので,色々なテストをする必要があります.

エンジンのテスト

テストをするためには,下のチェックリストにあるような,たくさんの準備や計画が必要です.

■エンジンのテスト チェックシート■

☑テストの目的は何か正しく理解する
☑スケジュールやデータの計測の方法などを考えて, 計画書を作る
☑計画書に基づいて必要な情報(設計が計算した性能・寸法)を調べる
☑部品や燃料の手配,治具と呼ばれるテスト用の専用部品を製作するための図面をかいて,町工場のおじさんにお願いしに行ったりする
☑テストをするエンジンをフォークリフトに乗って工場に取りに行く
☑テストベンチに据え付け(設置し)する.
☑エンジンを運転するために必要な燃料・排気ガス・電気配線やセンサーをエンジンにつなぐ
☑試運転正しいデータを計測し,問題点を発見するために,テスト設備や装置のメンテナンス(整備)は,いつも完璧にしておく

  • 準備その1:目的を知る

これは,エンジンのテストに限ったことではありませんが,目的が何かを正しく理解するはとても大切です.「なぜ,このテストをするのか?」ということを考えて目的をエンジンのテストをするチーム全員が共有します.

  • 準備その2:計画書を作る

目的がはっきりしたら,その目的をたっせいするための,スケジュールやデータの計測の方法などを考えて,計画書を作ります.計画をしっかり立てておくことで,必要なテストをきちんとすることができます.

  • 準備その3:情報を集める

計画書ができあがったら,計画書に基づいて必要な情報(設計が計算した性能・寸法)を調べます.

  • 準備その4:道具を手配する

エンジンのテストの具体的な中身が決まったら,部品や燃料の手配,治具と呼ばれるテスト用の専用部品を製作するための図面をかいて,町工場のおじさんにお願いしに行ったりします.

  • 準備その5:エンジンを取りに行く

必要な部品や燃料,設備や道具が揃ったら,いよいよ,テストをするエンジンをフォークリフトに乗って工場に取りに行きます.

  • 準備その6:エンジンを実験するための機械に据え付ける

テストベンチに据え付けをします.これを失敗すると変な振動が発生して,エンジンを壊してしまうので,厳しい精度で作業をしなければなりません.

  • 準備その7:実験のための配線をする

丁寧にテストベンチにエンジンをセットしたら,エンジンを運転するために必要な燃料・排気ガス・電気配線やセンサーをエンジンにつなぎます.

  • 準備その8:本試験前の試運転をする

たくさんの準備をして,やっと,いよいよ試運転になります。

エンジンのテストの思い出

 正しいデータを計測し,問題点を発見するために,テスト設備や装置のメンテナンス(整備)はいつも完璧にしておくことが重要な仕事の一つでした.安全にすべての作業やテストをし続けることも重要なミッションでした.ひと通りの事が自分でできるようになるまでは,とにかく必死で夢中で取り組みました.

「我々はプロの集団」

入社当時の課長さんからは「プロを目指せ.君たちは給料をもらって仕事をしているのだからプロになるべき」と言われていました.私はその意味がよくわかりませんでした.
4年経ったころアメリカ本社のエンジン開発センターに勉強に行かせてもらえました. 自分の職場には2セットしかないテスト装置が120セットもあり,見たこともない大きさのエンジンや冷凍庫の中でテストする装置などがあって,スケールの大きさと開発することの奥の深さに驚きました.
何よりカッコいいと思ったのは,エンジンのテストのことを何でも知っていて,何でも教えてくれるリーダーのブルースという人でした. たくさんのエンジニアや達を引っ張って熱心に仕事をしていて,立場が違う人とも尊敬し合ってテスト場には楽しい雰囲気があり,よいチームワークがそこにありました.それを見てやっとプロの意味が分かった気がしました.

わたしの夢

幸運にもその後も何回かブルースのチームにお世話になれたことで,エンジンのテストの事なら何でも分かるようになりたい・できるようになりたいという気持ちを持ち続けることができたと考えています.
ブルースは定年退職してしまったけど,ずっと連絡を取り合える仲間がまだそこにいます.いつかエンジン開発センターで一緒に仕事をするのが私のひとつの夢です.
石田 あずさ さん
大学の農学部を卒業後,建設機械メーカに就職し,神奈川県の事業所で20年・兵庫県に来て8年経過.現在は油圧ショベルの開発本部でエンジニアの支援などを担当.
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